2010-2-2
30年ほど前のこと。当時のパリのルーブル美術館別館に、ある画家が自作をこっそり持ち込んで「展示」し、2日後にバレて撤去されたことがある。この悪 戯をめぐり当時の小欄が「美の殿堂で、感に堪えぬ面持ちでこの絵を鑑賞した人もいたわけだ」と少し意地悪く書いている▼名画あまたのルーブルだが、ダビン チの「モナリザ」は至宝そのものだ。天才画家の威光は偽物にも及ぶらしい。先ごろニューヨークであった競売で、ダビンチの「婦人の肖像」の模写と鑑定され た絵に約1億4千万円という値がついた▼モナリザを彷彿(ほうふつ)させる女性の肖像で、流し目が印象深い。ルーブルには本物がある。ダビンチが2枚描い ていたと言われ、1世紀近く真贋(しんがん)論争が続いていたが、{zx1}の分析で2枚目は偽物と分かった▼冒頭の悪戯について、当時の小欄の筆者は「ルーブ ルに展示されて撤去された{wy}の絵として値を呼ぶかもしれぬ」と書いた。今回の偽物の高値には、真贋論争に敗れた話題性も一役買ったようだ▼模写や贋作は ときに、深い物語を秘めている。井上靖の短編「ある偽作家の生涯」は、親友の天才に呑(の)み込まれて、その贋作づくりに堕していく画家の悲劇を描く。巨 大な才に小才が打ちひしがれるさまは、小説ながら絵の厳しさを語って現実味がある▼「婦人の肖像」の模写は、18世紀半ば以前にダビンチの信奉者によって 描かれたらしい。どんな物語が作者にあったのだろう。パンを得るためか修業のためか。流し目の美女のすまし顔に、こっそりと聞いてみたい。
这是将近30年以前的事了。当时,有一个画家偷偷地带着自己的作品潜入巴黎罗浮宫美术馆别馆“展览”,2天后暴露被撤去。围绕这个恶作剧,当时的报纸专栏略带讽刺地写道“这是因为在美的殿堂里,有人不胜感慨地欣赏这幅画的缘故。”
罗浮宫虽然名画众多,但只有达芬奇的《蒙娜丽莎》才是至宝。天才画家的光辉甚至波及到了赝品。前段时间在纽约的拍卖会上,一幅被鉴定为达芬奇《贵妇人的肖像》仿作的画,拍出来约1亿4千万日元的高价。
神似蒙娜丽莎的女性肖像,暗送秋波的眼睛最让人印象深刻。罗浮宫里的是真迹,但世人传说达芬奇画了2幅,关于真伪的辩论持续了将近1个世纪,然而根据{zx1}的分析,发现第二幅是赝品。
关于开头的恶作剧,当时的专栏作者写道“作为{wy}一幅在罗浮宫展览又被撤去的画,它的价值可能会提升。”这次赝品拍出高价,也似乎主动为在真伪辩论中败北的那一方出了一把力。
仿作或赝品有时隐藏着不为人知的故事。井上靖的短篇《一个赝品家的生涯》描写了一个被亲友的才能吞没,堕入赝品仿制的画家的悲剧。小小的才能在才华横溢的天才面前被打得粉身碎骨,尽管是小说,却道出了绘画的残酷,具有现实意义。
《贵妇人的肖像》的仿作听说是18世纪中叶前某个崇拜达芬奇的人画的。那个画家有着什么样的故事呢?为了面包还是为了专业?从暗送秋波的美女那若无其事的脸上,我想悄悄地读出点什么。